孤独の箱

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zoom RSS 海へ向かう電車の中で

<<   作成日時 : 2011/12/25 22:18   >>

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ビルと電信柱の林の中を
海へ向かう電車がすり抜けて行く
煤けたコンクリやら
ネオンの残骸やらを振り切って
電車はいよいよ川を越える
きらきらと陽光の鱗が反射する
大きな大きな川を越える

とたんに景色の多くを緑が埋める頃
車両の中で故郷の言葉が
潮の匂いを帯びてくる
母音の強い漁師言葉は
少し柄の悪さも含めて
私にとっては父母そのものだ

景色を眺めたフリをしたまま
土地言葉に耳を傾けて
ガラスに映る幻の電車の中
微笑む父母を並べてみる


父母と別れた月日が長くなる程に
時折寂しさが胸を締め付ける
切なさがキリキリと滲みるのは
私が大人になったせいかもしれない

出来る事なら一緒に旅をしてみたかった
無邪気な少女の心で願ってみる

ああ
きっと楽しくて恥ずかしい

母に甘える事よりも
毒づく事を先に忘れたから
やっと親孝行が出来そうだ
親子で温泉に行くのもいい

病院が休みで電話が繋がらなかった時
「ウチの娘を殺す気か」と無茶を言って
電話の交換手とケンカした母
「嫁ぐなら何があっても戻ってくるな
でも亭主がサラ金に借金したら相談しろ」
嫁ぐ前の私に言った父
いつも心配かけてたよね

虚弱体質で寝込んでばかりいる子供で
大人になったとたん出来ちゃった婚で
とうとう離婚までしちゃった
こんな私を天国でも心配してくれてるかな

電車の心地良いリズムの中で
現実と夢との狭間で笑う父母

もうすぐ故郷の海が見える


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